2018年8月9日木曜日

海外での仮想通貨税金事情 ~ロシア、アメリカ、欧州






今日決済手段として広く使用され始めたにもかかわらず、仮想通貨は依然として正式な地位を得ておらず、法的に隔絶された空間に身を置いている。

しかし多くの国の規制当局と財政当局は、仮想通貨のステータスを定義しようとしているだけでなく、新しい法的ルールや規定を積極的に定め税制を導入することにより仮想通貨をコントロールしようとしており、今年は仮想通貨市場の規制の年になると思われる。

世界のいくつかの国でこの課題がどのように対処されようとしているか見てみよう。




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★ロシア★



ロシアで仮想通貨は正式な決済手段としては認められていない。

【検討中の3法案】

現時点では、仮想通貨での活動に関するいくつかの法案がロシア連邦議会下院で検討中である。
主なものは以下のとおり。

    「デジタル金融資産に関する法案」

議会下院の金融市場委員会委員長であるアナトリー・アクサコフ氏が率いる議員グループが提示

    「ロシア連邦民法1編、2編および4編の改正について」

「デジタル著作権」(トークンとICO)や「電子マネー」(決済手段としての仮想通貨)を分けるクラシェニニコフ氏とヴォローディン氏による法案

     「投資誘致のための代替方法」

トークンの発行と交換の観点からのクラウドファンディングについて)



下院議員と専門家によると、これらの法案は相互に関連としたものとして下院で今秋行われるセッションにて検討される。



【デジタルライトという新しい概念】

2018713日、アクサコフ氏は記者団に語った。
「銀行、財団や大企業のためのデジタル金融資産」という円卓会議の合間にて下院によって検討される法案に基づき、デジタルマネーは基本的に”デジタルライト”(デジタル著作権)のように位置付けられ、取引が許可される見込みだ」

このために、デジタル資産が、所有物としてではなくデジタル財産権の新しいタイプとして扱われるよう既存の税法に変更が行われる予定。

【課税についての方針】

2018年7月下旬にアクサコフ氏が「イズベスチヤ」紙の取材に答えた
「現在検討中の法案には仮想通貨所有者に対する特別な税制は含まれていない。ロシアでは、マイナーとデジタル通貨保有者に対する仮想通貨に関する課税は、税法の規範に従って行われる。仮想通貨トレーダーおよび個人は個人所得税13%を支払い、法人はその事業形態に従って課税される予定だ」
しかし同氏はこう続ける
「仮想通貨に対する個別の税制が導入される可能性を排除せず、当局がそのような動きを示す場合には、流通中の仮想通貨に個別の税制を導入する可能性はある」


一方、ロシア連邦財務省は、デジタルマネーに関する法律の採択後でなければ、仮想通貨のマイナーや所有者に対する課税は出来ないと強調した。同時に、現行の法律ではロシアでの唯一の合法的な決済手段はルーブルであるため、デジタルマネーによる日常生活での個人間の決済の合法化は予定していない。


ロシア国防総省の仮想通貨売上についてのリスク評価に関する異分野間ワーキンググループの責任者であるエレーナ・シドレンコ女史は、「Hash Telegraph」とのインタビューで、仮想通貨は国境を越えた行き来があり、高い犯罪リスクを有していることから、仮想通貨空間のための統一FATFスタンダード(国際社会で認められるためには必要)が制定されるまでは、仮想通貨を規制する国内法の採択は難しいと述べた。


★アメリカ★


不思議なことに金融市場におけるイノベーションで知られるアメリカでは、仮想通貨は通貨としてまだ扱われていない。ビットコインをアメリカで所有することは通貨の所有ではなく、財産の所有ということになる。

【課税についての方針】

アメリカ合衆国においてすべて仮想通貨取引は、「財産」に適用される税制の原則に基づいて課税対象である。しかし実態として米国税法第1031条の改正前は、一般の貨幣と交換する場合以外、税金を払わずに仮想通貨の取引が行われていた。しかし2018年の改正後、仮想通貨を使用するすべての取引は取引が完了する領土内で課税されるようになった

個人所得税に関しては、仮想通貨の保有が1年未満の場合10%〜37%、1年以上の場合は長期キャピタルゲインに対して最大24%の税率となる。

仮想通貨にて商品やサービスを販売するアメリカの納税者および居住者は、仮想通貨による収入を売上時の為替レートにより米ドルで申告し、税法に従って納税しなければならない。
仮想通貨からマイナーが得る収入だけでなく、賃金、家賃や賞金など仮想通貨に関連する全ての収入は、その受領時点の米ドル為替レートにて計上し、一般な所得同様に課税対象となる。


【規制当局の動き】

米国証券取引委員会(SEC)は仮想通貨市場の規制を強化し、仮想通貨を高リスクの投資ツールとして位置付ける方向である。その一方で、米商品先物取引委員会(CFTC)は、公開された下でという条件にて仮想通貨のデリバティブ取引を許可した。

【マネーロンダリング対策】
アメリカ合衆国財務省では、仮想通貨がマネーロンダリングの手段として使用されていると疑っており、違法行為者に警告を送るために市場を綿密に調査している。
しかし、集中的な管理から離れるために構築されたブロックチェーンのネットワークにてどれだけ匿名の取引を制御できるかは、不明確である。


★カナダ★


カナダは仮想通貨にかなり肯定的であるようだ。カナダは2014年にデジタル通貨に関する法律を世界で最初に採択し、自国でこの市場を規制しようとしている。カナダの消費者保護担当機関は仮想通貨を合法的な通貨として見ていないものの、2017年からは仮想通貨に関する取引および市場操作にはカナダの証券法が適用されている。

カナダの税務当局によって仮想通貨で販売された商品およびサービスの販売をバーター取引とみなさしており、仮想通貨の販売、マイニングからの収入および賃金は一般的な課税対象とされている。


★イギリス★


【仮想通貨=外貨】

イギリスはビットコインと他のアルトコインは外貨とみなし、外貨に関する既存の規範を適用している。同時に、ビットコインとの取引は投機的と見なされ、同種の取引は法律上非常に広範に捉えられるため、課税していない。
イギリス金融監督当局は、信用力の乏しいユーザーおよび信頼度の低い取引を報告することを仮想通貨プラットフォームに対して義務付け、仮想通貨市場の匿名トレーダーを開示することを今でも予定している。


★EU★


【ビットコインを通貨として認める】

法的な決済手段として使用される通貨、紙幣および硬貨の流通を規制するための規定に基づき、ビットコインのオペレーションを付加価値税VATの支払いから解放したため、2015年に欧州裁判所はビットコインを間接的に通貨として認めた。

【EUと各国の対応のずれ】

また欧州中央銀行はビットコインを転換可能な分散型仮想通貨に分類したが、一方でEU加盟国それぞれの財政当局はビットコインと仮想通貨の一般的なステータスを明確にまだ定義していない。
EUの金融監督当局は、信用力の乏しいユーザーおよび信頼度の低い取引を報告することを仮想通貨プラットフォームに対して義務付け、仮想通貨市場の匿名トレーダーを開示することを予定している。


★ドイツ★


【購入後1年以上経過した場合、キャピタルゲイン税は発生せず】
ビットコインは株式や債券のようなプライベートマネーと投資の手段の一種とみなされている。ビットコインは、購入後1年以内に納税義務が発生した(「発生した」は事件や天災などと同様に使われるのが一般的)場合、キャピタルゲイン税率25%の対象となる。購入後一年以上が経過すると、キャピタルゲイン税は発生せず、取引は個人による売却であるとみなされる。ドイツ連邦銀行は仮想通貨市場の世界的な規制強化を求めている。


★フランス★


フランスの財務・公会計省は仮想通貨市場の世界的な規制強化を求めている。


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このように世界どの国においても、仮想通貨およびそのさらなる規制に関する明確なビジョンをまだ持っていない。

しかし規制を求める声はすでに高まっている。年内には100%ではなくとも仮想通貨自体およびトレーダーに対するして規制する各国の試みが見られるだろう。

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